不動産会社の集客は、ポータル依存から自社サイト経由の流入へと重心が移っています。鍵を握るのは「SEOコンテンツ」。とはいえ、全部を外注するとコストも品質も不安、全部を内製すると継続が難しい——。
そこでおすすめなのが、制作は社内で内製し、ディレクションやノウハウ収集は外部のプロに任せるハイブリッド運用です。本稿では、丸投げが危険な理由、内製と外注の分け方、生成AIの活用、公開後のレビュー&リライト運用、成功事例、導入手順、トレンドまでを一気に解説します。
CONTENTS
不動産会社にとってのWeb集客とSEOコンテンツの重要性
顧客は「物件名」だけでなく「暮らしの判断材料」を検索している
不動産の意思決定は高額・高関与。ユーザーは「○○駅 新築」「中古 マンション 固定資産税」「△△小学校 評判」「住宅ローン 変動 固定 どっち」など、物件以外の周辺知識を大量に検索します。ここを自社のSEOコンテンツで丁寧に拾えると、初回接触の段階から信頼残高が貯まり、問い合わせ時点で“比較優位”を確保できます。さらに、地域・校区・防災・相場推移などの一次情報は、ローカル×専門性の掛け算で検索評価を得やすく、ポータルでは語りきれない独自性の源泉になります。
SEOコンテンツは「業者に丸投げ」が危険な理由
現場情報が抜け落ち、E‑E‑A‑T(経験・専門性・権威性・信頼性)が弱くなる
丸投げ記事は、一般論の寄せ集めになりがちです。実査した学区の境界、管轄警察署・ハザード・ゴミ出しの曜日、周辺施設の“実際の混み具合”——こうした一次体験が欠けると、ユーザーの疑問を解決できません。検索評価の観点でも、体験や専門性の薄い記事は上位に残りにくく、読了率・滞在時間・再訪率も伸びません。
差別化できず、長期的にはコスト高になる
量産系外注はテンプレ構成・表現が似通い、競合と同質化します。結果としてリライトのやり直しが発生し、監修・現地取材・撮影などの追加費用が後追いで必要に。コンテンツは資産なので、短期の“安さ”よりも長期の保守コストまで見据えるべきです。
法務・表記ポリシーのリスク
広告表示や不当表示の観点でグレーな言い回しが紛れ込むことも。契約・税金・法令に関わる記述は、社内の責任者が最終責任を持ってチェックする体制が必要です。丸投げはこのガバナンスを弱めます。
外注先との業務分担の原則(会社ごとに最適解は違う)
内製すべき領域:一次情報・地域性・顧客インサイト
(1)地域記事/エリアガイド:校区、地勢、交通、混雑時間、生活導線は社内が最強。
(2)営業Q&Aの言語化:来店時に必ず聞かれる質問と回答は、現場の温度感が命。
(3)実例・体験談・内見レポ:写真・動画・ボイスノートを社内で収集し文章化。
(4)物件の強み・弱みの丁寧な比較:価格以外の“暮らしの質”を言語化できるのは自社だけ。
これらはE‑E‑A‑Tのコアです。ここを外に出すと弱くなります。
外注したい領域:戦略・ディレクション・編集品質の担保
(1)キーワード調査/検索意図の設計:ビッグ〜ロングテールの階段づくり。
(2)コンテンツマップ/内部リンク設計:上位群を面で獲る土台。
(3)骨子(見出し)作成と編集・校正:冗長さを削り、読了率を高めるプロの仕事。
(4)構造化データ/タイトル・メタ/導線設計:クリック率とCVRの最適化。
(5)効果測定とリライト計画:Search Console/Analytics起点のPDCA。
会社の規模・人材・拠点数により、この分配は変わります。**「月4本は内製記事、月2本は外注構成で社内執筆」**のように、試しながら最適解を更新しましょう。
ハイブリッド体制の例
・編集長(外部)=戦略・骨子・レビュー
・コンテンツ責任者(社内)=一次情報収集・監修
・ライター(社内)=執筆・写真
・校正(外部)=表記統一、法務観点チェック
・デザイナー(内外どちらでも)
最初の“たたき”は生成AIを活用
叩き台づくりで時間を圧縮し、現場の知を乗せる
生成AIで構成案・見出し・導入文・FAQ案を一気に出し、社内の一次情報で肉付けするのが効率的です。
たとえば「○○駅の住みやすさ」を書くとき、AIに検索意図のバリエーション(子育て、治安、通勤時間、家賃分布、買い物)を列挙させ、見出しを粗く並べます。そこに営業が現場の実感(朝8時台の混雑、スーパーの品揃え、ベビーカーでの段差など)を追記します。
AIは、広げる・整える”のが得意で、事実を確定するのは人の仕事——この分担が肝です。
ファクトチェックと独自価値の付与
AIの文章は事実誤認のリスクがあります。出典の明記、自治体データの照合、法令の確認は手動で。写真・簡易アンケート・担当の声など独自素材を差し込むと、体験の厚みが出て、検索評価にも寄与します。
具体的なワークフロー例
① AIで骨子10案
② 外部ディレクターが3案に絞り修正
③ 社内が一次情報を追記
④ AIで冗長表現を短縮
⑤ 外部編集がメタ・構造化データ・内部リンクを設定
⑥ 公開
ここまでの制作時間を30〜40%短縮しつつ、品質は担保できます。
公開してからが本番:レビュー&リライト運用
KPIと品質基準を“記事単位”で持つ
順位・表示回数・CTR・平均滞在・スクロール深度・CV(問い合わせ/内覧予約)を公開後28日・90日の二段階でレビュー。記事テンプレートに想定読者・検索意図・達成すべき読後感を明文化し、合致度で採点します。
リライトの手順(3段階)
ライトリライト:タイトル・見出し・導入の改善、同義語差し替え、内部リンク追加。
ミドルリライト:節の入れ替え、情報の更新、FAQ追加、図版追加。
ヘビーリライト:検索意図の再定義、構成の全面刷新、写真・動画を再撮影。
“どこまでやるか”を決めてから着手すると、無駄打ちを防げます。
ありがちな失敗と回避策
・更新頻度だけ追う→質が担保されず、ドメイン全体の信頼が落ちる。→コアページ集中主義で面を強くする。
・KPIが流入だけ→CVにつながらない。→記事末の自然なCTA(相談導線・LINE登録)を磨く。
・誰も“完成”と“終了”を定義していない→延々と修正。→締め条件(KPI達成or季節性の終了)を決める。
成功事例(ハイブリッド運用での6例)
1)地域特化でビッグワードを面で攻略(首都圏A社)
外部がコンテンツマップと内部リンク網を設計。社内が「駅別・校区別・坂道と自転車」「朝夕の混雑」など一次情報を執筆。写真も自前で撮影。
3か月で関連語の表示回数が倍増し、駅名×住みやすさで上位を獲得。問い合わせフォームの**“相談内容の具体度”**が上がり、商談化率が改善。
2)営業Q&Aの資産化でCVR向上(関西B社)
外部ディレクターが来店時の質問を収集し、FAQ群記事を設計。社内営業が回答を文章化、外部が編集で読みやすく整形。検索流入は緩やかな増加ながら、記事末のLINE誘導からの予約が1.8倍に。
3)中古×リノベの体験記事で差別化(中部C社)
内見同席の担当が体験レポを執筆。外部は法務観点で表現を微修正。BEFORE/AFTER写真と費用内訳を可視化した結果、滞在時間が1.6倍、相談フォームの“希望工事”欄の入力率が上昇。
4)既存記事のミドルリライトで復活(北海道D社)
外部がSearch Consoleを読み、共起語不足と検索意図ミスマッチを特定。社内が不足しているデータ(積雪・除雪・断熱等)を追記。3週間で圏外→10位→4位。「冬の暮らし」という軸が評価された。
5)AI叩き台×現場追記で制作速度を40%短縮(四国E社)
AIで構成と導入文を作成→外部が骨子をブラッシュアップ→社内が一次情報を追記→外部編集で整える流れを標準化。月6本の更新体制に移行し、季節イベント×地域記事で広く表示を獲得。
6)エリア横断の“通勤時間別比較”で指名検索が増加(九州F社)
外部が比較フォーマットを設計、社内が実測データを収集。通勤時間30/45/60分で生活コストを定量比較。SNSでも拡散し、社名+エリア名の指名検索が増加。来店時の“腹落ち”が早く、成約までのリードタイムが短縮。
導入・運用手順(最短ロードマップ)
戦略→制作→公開→改善の4サイクルを小さく回す
(1)診断:流入上位ページ/CV経路/競合比較を棚卸し。勝てる領域を3つに絞る。
(2)設計:外部がキーワードクラスターと内部リンク計画を作成。テンプレと表記ルールを整備。
(3)制作:AIで叩き→外部が骨子化→社内が一次情報追記→外部が編集・メタ・構造化。
(4)公開:導線(関連記事・CTA・LINE・予約)を整えてローンチ。
(5)改善:28日レビュー→ライトリライト、90日レビュー→ミドル/ヘビー判断。
まずは3テーマ×各4本=12本を1クォーターでやり切り、勝ちパターンを抽出するのが現実的です。
導入チェックリスト(文章で確認)
体制・ルール・計測を“先に決める”
導入チェックリスト(文章で確認)
人員:責任者1(社内)/編集1(外部)/ライター2(社内)/校正1(外部)を最低ラインに。
ルール:表記統一・画像権利・法務レビュー・締め切りSLA・修正回数。
制作:AI利用可否とプロンプト共有、一次情報の収集方法(写真、ボイスメモ、簡易調査)。
品質:見出しの要件(検索意図・読後感)、最低語数、図版の有無、E‑E‑A‑Tの証跡(著者プロフィール、監修者肩書、出典リンク)。
計測:順位・CTR・滞在・スクロール・CVを記事IDで追うダッシュボード。
リライト:28日/90日ルール、ライト/ミドル/ヘビーの判断基準。
ガバナンス:不当表示・誇大表現の禁止リスト、法令関連の監査フロー。
コンテンツ運用シナリオ例(1か月スプリント)
週次で役割を固定し、滞りをなくす
Week1:外部がキーワード3束を提示→編集会議で優先順位決定→AIで骨子→社内が一次情報収集開始。
Week2:社内が執筆→外部が骨子準拠チェック→写真・図版の手配。
Week3:外部編集がメタ・構造化・内部リンク設計→法務・表記の最終チェック。
Week4:公開→28日レビュー用のKPIカードを発行→SNS・LINEで告知。
このシナリオを回すことで、**“毎月4本の良記事”**が安定供給でき、面での上位表示が現実味を帯びます。
今後のトレンド(3項目)
ローカルSEOの深化とゼロクリック対策
地図・ナレッジパネル・“People also ask”の露出が重要に。地名×暮らしの判断材料を網羅し、FAQ構造・構造化データ・要約向けの導入文を整える。ゼロクリックが増えても、ブランド想起と内部リンクでサイト回遊へつなげる設計が要ります。
E‑E‑A‑T強化:著者情報と体験コンテンツが評価軸
著者プロフィール・監修者・実地検証のエビデンスを記事テンプレに標準搭載。現場写真、担当者の“声”、失敗談/成功談の具体的ディテールが差異化要因になります。
検索×SNS×メッセージアプリの三位一体運用
記事を短尺動画・カルーセルに再編集してSNSに二次展開。LINEやメールでパーソナライズ配信し、再訪を促す。検索で獲得→SNSで関係維持→メッセージでコンバージョンという三段ロケットが王道です。
まとめ
不動産会社のSEOコンテンツは、“現場の一次情報”を核にした内製と、“勝ち筋の設計・編集”を担う外部プロの二刀流が最短距離です。最初の叩きは生成AIでスピードを出し、公開後のレビュー&リライトで伸ばし切る。丸投げでも完全内製でもない、現実的で強い体制をつくりましょう。
株式会社リグネットは、不動産領域に特化したキーワード設計/コンテンツマップ/編集ディレクション/レビュー&リライト運用まで伴走します。まずは既存サイトの簡易診断と、“12本で面をつくる”試験運用プランから。貴社のエリアで、読まれる“資産コンテンツ”を一緒に育てませんか。

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