「プライバシーポリシーをどう書けばいいか分からない」「他社のコピーで本当に問題ないのか…?」と迷う不動産会社のWeb担当者は少なくありません。近年、ホームページ経由での問い合わせや資料請求がますます増加するなか、会社として個人情報の取扱いを“明文化し公開する責任”は、もはや避けて通れない課題となっています。
本記事では、不動産会社が安心してホームページ運営を続けるために欠かせない「プライバシーポリシー」の作成実務について、法令遵守と顧客信頼の両面から分かりやすく徹底解説します。2022年改正の個人情報保護法やCookie規制といった最新トレンド、不動産業界特有の注意点、サンプル活用や実務的な運用ノウハウまで、押さえておくべきポイントを網羅しました。「ひな形を貼っただけ」になりがちな現場こそ、ぜひご一読ください。
CONTENTS
不動産会社におけるプライバシーポリシーの重要性
個人情報保護法と不動産業界の義務
不動産会社が日常的に収集・管理する個人情報は、氏名・連絡先・住所・メールアドレス・物件希望条件・家族構成・勤務先など、非常に多岐にわたります。物件探しや来店予約、内見申し込み、契約手続き、アフターフォロー――こうしたすべてのプロセスで、個人情報保護法(正式名称:個人情報の保護に関する法律)やガイドラインへの対応が必須です。
特に2022年の改正では、「開示・利用停止請求権」の強化や「安全管理措置」の厳格化、「委託先管理」の義務付け、「漏洩時の報告義務」など、事業者側の責任が一段と重くなりました。不動産業界は高額取引・長期取引が多く、「信頼性」や「安心感」の欠如が大きな機会損失となりやすい分野。プライバシーポリシーの明示は、“法令順守”と“顧客信頼”の両立に直結するのです。
プライバシーポリシーが信頼につながる理由
Webユーザーは、問い合わせや資料請求の際に「自分の情報が本当に大丈夫か」「どのように利用されるのか」を非常に気にしています。
分かりやすく丁寧なプライバシーポリシーを用意し、「個人情報の取得・利用目的・管理方法・外部提供の有無・ユーザーの権利」を明記しておくことは、ユーザーにとって“安心して問い合わせできる会社”という印象につながります。
逆に、ポリシーがあいまい・難解・更新されていない状態では「この会社は情報保護意識が低いのでは?」と不信感を持たれ、問い合わせ機会や成約率が低下する恐れも。大手ポータルや競合他社との差別化としても、しっかりとしたプライバシーポリシーは今や「信頼経営の証し」といえるでしょう。
プライバシーポリシー作成で必ず押さえるべき項目
取得する個人情報の内容
まず明記すべきは「どのような情報を取得するか」です。
不動産会社の場合、代表的な取得情報として以下が挙げられます。
- 氏名
- 住所
- 電話番号・メールアドレス
- 物件希望条件(エリア、予算、間取り、その他希望)
- ご家族の構成や職業、勤務先(任意)
- 住宅ローン利用有無
- お問い合わせ・内見・資料請求時の入力内容
Webサイトのフォームで新たに取得する項目が増えた場合や、AIチャット・LINE連携など新しいチャネルを導入した場合も、必ず対象範囲に追加しましょう。
利用目的の明示と範囲
個人情報保護法では「利用目的の特定・明示」が厳格に求められます。
不動産会社の場合、主な利用目的例は以下の通りです。
- お問い合わせ・資料請求への回答や連絡
- 内見・来店予約の調整
- 物件情報のご案内・送付
- メールマガジンや最新物件情報、キャンペーン等のお知らせ
- 契約手続きやアフターサービス
- サービス向上のための統計分析・アンケート調査
- 個人を特定しない形でのマーケティング活用
特に「目的外利用禁止」の観点から、“想定しうる利用範囲”まで丁寧に記載しましょう。利用目的を変更する場合は「事前に本人に通知し同意を得る」旨も盛り込むと法令順守に役立ちます。
第三者提供・外部委託の対応
- 第三者提供の有無・範囲
- 提携会社・グループ企業、リフォーム会社、金融機関などとの連携がある場合はその旨を記載。
- 法令等に基づく提供(警察・裁判所等)も明記。
- 提携会社・グループ企業、リフォーム会社、金融機関などとの連携がある場合はその旨を記載。
- 外部委託・クラウド利用
- ITシステム会社やマーケティング代行業者等に個人情報の処理を委託する場合、その管理責任・監督体制についても説明しましょう。
- ITシステム会社やマーケティング代行業者等に個人情報の処理を委託する場合、その管理責任・監督体制についても説明しましょう。
- Cookie・行動履歴の第三者利用
- Googleアナリティクスや広告配信ツール、LINE公式アカウント等の外部サービス利用時は、Cookie利用やアクセス解析に関する説明も忘れずに。
- Googleアナリティクスや広告配信ツール、LINE公式アカウント等の外部サービス利用時は、Cookie利用やアクセス解析に関する説明も忘れずに。
情報管理・安全対策の記載
- 情報管理責任者の明記
- 代表者または担当部署を明記し、責任体制を明確にします。
- 代表者または担当部署を明記し、責任体制を明確にします。
- 具体的な安全管理措置
- SSL化による通信暗号化
- アクセス権限の制限
- サーバー・ネットワークのセキュリティ強化
- 従業員への情報保護教育・監督
- 紙媒体や廃棄時の管理
- SSL化による通信暗号化
ユーザーに対して「どのような対策を講じているか」を説明することで、信頼感を一層高めることができます。
最新法令・ガイドライン対応のポイント
2022年個人情報保護法改正の影響
直近では2022年4月施行の法改正によって、不動産会社を含む全事業者が以下の点で対応を迫られています。
- 開示・利用停止請求への対応強化
- ユーザーからの「自分の情報を教えてほしい」「利用をやめてほしい」という要請に対し、具体的な手続き方法や窓口を用意する必要あり。
- ユーザーからの「自分の情報を教えてほしい」「利用をやめてほしい」という要請に対し、具体的な手続き方法や窓口を用意する必要あり。
- 個人データ漏えい時の報告義務
- 万が一情報流出が発生した際は、所轄の個人情報保護委員会および当該本人への速やかな通知が義務付けられました。
- 万が一情報流出が発生した際は、所轄の個人情報保護委員会および当該本人への速やかな通知が義務付けられました。
- 安全管理措置の厳格化
- クラウド利用や業務委託先も含め、管理体制の明文化・教育強化が必要に。
- クラウド利用や業務委託先も含め、管理体制の明文化・教育強化が必要に。
プライバシーポリシー内にも、これら対応フローや連絡先の記載が必須となります。
- Cookie利用の説明
- Googleアナリティクス、広告配信、リマーケティング等のためにCookieを用いている場合、「Cookie利用の目的」「拒否・設定方法」をわかりやすく説明しましょう。
- Googleアナリティクス、広告配信、リマーケティング等のためにCookieを用いている場合、「Cookie利用の目的」「拒否・設定方法」をわかりやすく説明しましょう。
- アクセス解析ツールの明記
- どのような解析ツールを用いているか、どのような情報が収集されているか(例:IPアドレス、閲覧ページ、訪問日時等)も併記が必要です。
- どのような解析ツールを用いているか、どのような情報が収集されているか(例:IPアドレス、閲覧ページ、訪問日時等)も併記が必要です。
- オプトアウト(拒否方法)への案内
- Cookie利用を希望しないユーザーへの具体的な設定手順や外部サイト(Google等)のオプトアウトURLも案内しておくと親切です。
- Cookie利用を希望しないユーザーへの具体的な設定手順や外部サイト(Google等)のオプトアウトURLも案内しておくと親切です。
情報開示・訂正・削除の対応方法
ユーザー自身が自分の個人情報に対し「開示・訂正・追加・利用停止・削除」を希望した場合の手続きや問い合わせ窓口の明記も不可欠です。
- 受付窓口(メールアドレス・電話番号)を記載
- 対応手順や必要書類について説明
- 合理的な期間内に誠実に対応する旨の明示
これらを明記することで、ユーザーの権利尊重への姿勢と、万全な情報管理体制を印象付けることができます。
実際に役立つプライバシーポリシー作成フロー
雛形活用と自社用カスタマイズ
- 業界標準の雛形を利用
- 日本賃貸住宅管理協会や不動産流通推進センター、法務省などの公的機関・団体が公開する雛形をベースに、自社の業務内容・取扱情報・サービス実態に合わせてカスタマイズします。
- 日本賃貸住宅管理協会や不動産流通推進センター、法務省などの公的機関・団体が公開する雛形をベースに、自社の業務内容・取扱情報・サービス実態に合わせてカスタマイズします。
- 自社業務・フローとの整合性を確認
- 取得情報や利用目的、第三者提供、委託先管理など、自社の実態に即して調整しましょう。
- 取得情報や利用目的、第三者提供、委託先管理など、自社の実態に即して調整しましょう。
- 専門家のチェックも有効
- 法律や規制の最新動向に対応できているか、社外の弁護士やコンサルタントの監修も積極的に活用しましょう。
- 法律や規制の最新動向に対応できているか、社外の弁護士やコンサルタントの監修も積極的に活用しましょう。
文章のわかりやすさとデザイン性
- 法律用語だけでなくユーザー目線の表現を
- 難解な表現や専門用語の羅列は避け、「誰でも理解できる平易な言葉」と「具体的な事例」を用いましょう。
- 難解な表現や専門用語の羅列は避け、「誰でも理解できる平易な言葉」と「具体的な事例」を用いましょう。
- デザイン的な工夫も信頼感につながる
- 行間や箇条書きを活用し、視認性を高める
- 重要なポイントはアイコンや太字で強調
- モバイル・スマホ表示にも対応したレイアウトにする
- 行間や箇条書きを活用し、視認性を高める
ユーザーが「読む気になる」「本当に理解できる」プライバシーポリシーは、それだけで安心感・信頼感を大きく高めてくれます。
定期的な見直しと運用体制の構築
- 法改正や業務フロー変更時の見直し
- 個人情報保護法や関連法令の改正、業務システムの刷新、委託先の追加などがあれば必ず内容を更新しましょう。
- 個人情報保護法や関連法令の改正、業務システムの刷新、委託先の追加などがあれば必ず内容を更新しましょう。
- 定期的な社内教育と運用ルールの徹底
- 新入社員向け研修や、定期的な従業員向け教育も効果的です。
- 新入社員向け研修や、定期的な従業員向け教育も効果的です。
- トラブル時の緊急連絡体制・対応マニュアルも整備
- 万が一漏洩が発生した場合、速やかに社内外へ周知・報告できる体制を整備しておくことも欠かせません。
- 万が一漏洩が発生した場合、速やかに社内外へ周知・報告できる体制を整備しておくことも欠かせません。
不動産会社におすすめのサンプル・ツール
業界向けサンプル文例の紹介
- 日本賃貸住宅管理協会・不動産流通推進センター等のサンプル
- 各業界団体や行政機関が提供する「不動産取引向け」プライバシーポリシーの例文は、実務・法令対応の両面から活用できます。
- 各業界団体や行政機関が提供する「不動産取引向け」プライバシーポリシーの例文は、実務・法令対応の両面から活用できます。
- 大手不動産会社の公開事例
- 競合他社や大手企業のプライバシーポリシーを参考に、業界標準や最新動向を把握しましょう。
- 競合他社や大手企業のプライバシーポリシーを参考に、業界標準や最新動向を把握しましょう。
- 物件ポータルサイトやIT重説等のサンプルも参考に
- Suumo、at home、LIFULL HOME’Sなど大手サイトの記載例もヒントになります。
- Suumo、at home、LIFULL HOME’Sなど大手サイトの記載例もヒントになります。
チェックリスト・自動生成ツール活用
- 必要項目をもれなく確認できるチェックリスト
- プライバシーポリシー作成時に「記載抜け」や「漏れ」がないかを確認できる業界標準のチェックリストを活用しましょう。
- プライバシーポリシー作成時に「記載抜け」や「漏れ」がないかを確認できる業界標準のチェックリストを活用しましょう。
- 自動生成ツールや雛形作成サービス
- 「プライバシーポリシー自動生成」「弁護士監修の雛形作成サービス」なども近年増えています。カスタマイズ機能付きのものを選ぶと、自社の実態に合わせて効率的に作成できます。
- 「プライバシーポリシー自動生成」「弁護士監修の雛形作成サービス」なども近年増えています。カスタマイズ機能付きのものを選ぶと、自社の実態に合わせて効率的に作成できます。
まとめ・リグネット流の安心と信頼を生むプライバシーポリシー
プライバシーポリシーは単なる「法令遵守の書類」ではなく、不動産会社がユーザーとの信頼関係を築くための“約束事”です。わかりやすさ・最新法令への適合性・業界特有の取扱いまで十分に配慮し、定期的な見直しと運用ルール徹底を欠かさず行いましょう。
リグネットでは、不動産会社向けに専門性と実効性を両立したプライバシーポリシー作成・運用支援を多数行っています。 法令改正やシステム刷新、Webサイトの新規公開・リニューアルの際も、現場と法務両方の視点から最適なアドバイスをご提供します。
「ユーザーの安心と御社の信頼を守る一歩」として、ぜひリグネットのノウハウをお役立てください。

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